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社長日記

vol55 ベクトル

ベクトルとは、方向と大きさのこと。

僕は高校生の頃、地元の進学校に通っていた。
入ったはいいが、勉強はまったくしなかった。
定期テストの半分以上が赤点。
(赤点とは、30点以下のこと)

当時の通知表が出てきたので、載せておく。

高校2年の通知表。前期の評価は国語探究43、日本史A42、数学II33、化学40など
高校2年の通知表。左の「評価」が100点満点、右の「評定」が5段階評価。

テストの点は、これよりもっとひどかった。

そんな僕でも、一度だけ本気でテスト勉強をしたことがある。
生物のテストだ。

その学校には、名物先生がいた。
1年生のとき、授業中にいきなり「外に出ましょう」と言い出した。
何が始まるんだと思ったら、ただ校庭を回るだけだった。

先生は木や草を指差しては、「これは○○」「これは△△」と植物の名前を次々に挙げていく。
僕たちは、意味もわからずノートにメモを取った。

そして、次の定期テスト。
配られた問題用紙を見て、教室がざわついた。

「私が校庭で教えた植物の名前を書きなさい」

マス目が、100個以上。
テストというより、ちょっとした罰ゲームだった。

ただ僕は、このテストに山を張っていた。
暗記だけは得意だったからだ。
先生が言っていた植物の名前を、ノートにひたすら書き写す。
10回、いや、それ以上。手が覚えるまで書いた。

ヘクソカズラ。

名前がひどい。だから覚えた。

本番。
頭の中の植物を、片っ端からマス目に埋めていく。
人生でいちばん自信を持って、答案を出した。

ただ、話はここで終わらない。
テストの前日のことだ。

植物名はもう完璧。時間が余った。
「よし、せっかくだから数学もやっておくか」
調子に乗って、いちばん苦手な数学に手を出した。
公式を丸暗記して、一夜漬けで本番へ。

結果。

生物、75点。学年で10番以内。
正直、悔しかった。1番じゃなかったから。

そして数学、24点。
人生で初めてちゃんと勉強して、赤点。
完全に、ベクトルを間違えた。

あの日、数学に使った数時間。
あれを全部、ヘクソカズラに注いでいれば。

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